当日の様子
「第18回地域伝統芸能まつり」 テーマ:鬼
日本各地で脈々と受け継がれている地域伝統芸能や古典芸能が一堂に会する「地域伝統芸能まつり」を、2月25日(日)にNHKホールで開催しました。今年は「鬼~山に棲む、里に棲む、心に棲む~」をテーマに、日本各地の地域伝統芸能7演目と古典芸能1演目が披露され、2,200人以上の観客を魅了しました。
オープニングでは、鼓の音とともに緞帳が上がると、ステージは空舞台。司会者の合図で、数々の舞台を作り上げてきた美術方がセットを組み上げる演出に、観客は圧倒されました。そして、テーマ曲「曼陀羅21」にあわせて、この日出演する総勢約150名が元気よくステージに登場し、たくさんの観客を前に士気を高めました。
最初の演目は、千葉県野田市から「野田のつく舞」です。高さ10mにも及ぶ、白木綿で巻かれた柱をたて、「ジュウジロウサン」と呼ばれる白装束に雨蛙の面を被った演者が、柱や樽の上、柱から張られた縄の上で妙技を披露する様子に、客席は緊張感が漂いつつも、歓声があがりました。
次に登場した、新潟県佐渡市の「鬼太鼓」は、佐渡独自の伝統芸能として、島内の120を超える集落で伝承されています。今回は、子ども・青年会・保存会の3世代による共演で、このフェスティバルが目指す、地域の伝統芸能を継承する一端が垣間見えました。
続いて、高知県梼原町の「津野山神楽」。テンポの速い楽(囃子)に合わせた舞で、18節の中から「鬼神退治」を披露しました。長年コンビを組んできた鬼と神の絶妙な舞に観客は魅了され、神が鬼のかしらをとると勝利のムードに包まれました。
兵庫県姫路市の「中野獅子舞」は、これまでフェスティバルに出演した梯子獅子の中でも、梯子をピラミッド型に組む初めての形で、釣り子といわれる猿とひょっとこに煽られた雄獅子は徐々に梯子を登り始め、頂上で離れ業を演じます。曲芸的に舞う獅子に観客は引き込まれていきました。
そして第2部は、フェスティバルのもう一つの柱である古典芸能から始まります。
今回は、福島県二本松市を舞台にした能「安達原」を人間国宝の大槻文藏らが演じました。これまでの地域伝統芸能から一転、ステージ上に能舞台が設置され、前半のしみじみした場面から老女が般若の姿へと変わる展開に目が離せませんでした。
舞台は伝統芸能に戻り、地域伝統芸能まつり実行委員会の鎌田委員が岩手県北上市「鬼剣舞」の起源を語り、ほら貝を奏でる中、幕が開けます。
鬼は仏の化身とされ、角のない面が特徴の鬼剣舞は、雪山風景を背に、自分で作ったお面をつけ踊る保育園の子どもたちと、大人の勇壮で力強い踊り振りで観客を魅了しました。
そして、鹿児島県日置市は「伊作太鼓踊」。重さ18㎏の装備を身に纏い、太鼓を叩きながら矢旗を大きくゆすって勇壮に躍る「平打ち」と、その輪の中で踊る子どもたちの「中打ち」が奏でるリズムがホール全体に響き渡りました。
最後に登場したのは、島根県浜田市の「石見神楽」。実行委員会の下重委員による解説を交え、石見神楽を代表する「大蛇」が披露されました。色鮮やかな8つの大蛇がうねり立ち、激しく演舞すると、会場は一気に最高潮に盛り上がりました。
会場の興奮が冷めやらぬ中、フィナーレには全出演者が再登場。客席からは、各地域で伝統芸能を保存・継承してこられた出演者の方々への敬意と今後への期待を込めた盛大な拍手が惜しみなく送られ、第18回地域伝統芸能まつりは幕を閉じました。
地域情報PRコーナー
ホール2階の客席ロビーには「地域情報PRコーナー」を設置し、各出演団体の地元地域のパンフレットの配布や地元自慢の特産品のグッズの販売等を行いました。
今回は、6ブース(岩手県北上市、千葉県野田市、新潟県佐渡市、兵庫県姫路市、島根県浜田市、鹿児島県日置市)が出展。どのブースもたくさんの方にご利用いただき、地域への理解をより深めていただきました。
当日のアンケートに寄せられたご意見
- ・地域の伝統芸能がなくなる事のないよう、守っていってほしい。
- ・日本にある、まだ知らなかった各地の芸能を堪能した。
- ・とても見ごたえのある演目ばかりで楽しかった。
- ・保存会に子どもが多く参加しているのは楽しみで、又、頼もしく思う。
- ・各地域の保存会の皆様がご苦労されて、絶やさないようにしているのだとわかった。
- ・東京にいながらいろいろな地域の伝統に触れることができてよい。
- ・もっといろんなまつりを見てみたい。
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