第14回 地域伝統芸能まつり テーマ「芽生え」
日本各地で脈々と受け継がれている地域伝統芸能と古典芸能を一堂に会して紹介する「地域伝統芸能まつり」が、2月22日(土)、23日(日)の両日、東京・渋谷のＮＨＫホールで開催されました。
大変多くの皆様にご応募ならびにご来場をいただき、誠にありがとうございました。
14回目を迎える今年は「芽生え」をテーマに、全国から11の地域伝統芸能と2つの古典芸能が集い、実演と同時にその歴史や地域性などもご紹介しました。
第1日 2月22日(土)
・熊襲踊／宮崎県都城市
・佐陀神能／島根県松江市
・上羽太天道念仏踊り／福島県西郷村
・古典芸能・半能「船弁慶」（観世流）／片山九郎右衛門、片山清愛 ほか
・仙台すずめ踊り／宮城県仙台市
・鹿野山のはしご獅子舞／千葉県君津市
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上羽太天道念仏踊り |
仙台すずめ踊り |
第2日 2月23日(日)
・小倉祇園太鼓／福岡県北九州市
・蹴鞠／京都府京都市
・おらんだ楽隊／千葉県香取市
・阿波人形浄瑠璃／徳島県徳島市
・古典芸能・狂言「以呂波」（大蔵流）／茂山逸平、茂山慶和
・西嶋神楽／山梨県身延町
・布団太鼓台／大阪府東大阪市
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小倉祇園太鼓 |
蹴鞠 |
おらんだ楽隊 |
2日間のオープニングを飾ったのは、宮崎県都城市の「熊襲踊」。木彫りの面に棕櫚（しゅろ）皮のかつら、手甲脚絆に、わらで作った大きなしめ縄を背負い、竹で編んだ「バラ太鼓」を腹部にしばりつけた演者が次々と客席から登場。鉦や歌に合わせ、ユーモラスなしぐさで転ぶ、折り重なって倒れるなどの場面が披露されると、会場からは笑い声が上がり、和やかな幕開けとなりました。
島根県松江市からは、ユネスコ無形文化遺産リストにも登録された「佐陀神能」が登場、大蛇退治を主題とした「八重垣」の場面が演じられました。ヤマタノオロチを表現した、目が16ある大きな面をつけ、鱗模様の装束に身を包んだ大蛇が、素戔嗚尊（すさのおのみこと）によって退治される様子は、大変見ごたえのあるものでした。 上演後のインタビューで、女子高校生3名がはにかみながら、祭りを見て保存会への参加を決めたと話す姿には、伝統芸能が地域に根差し、次世代へと継承されていく一端を見ることができました。
千葉県君津市からは「鹿野山のはしご獅子舞」が登場。
お囃子に合わせ、獅子が高さ約10メートルのはしごを駆け登り、誰もが手に汗握る迫力ある技の数々を繰り広げると、会場からは何度も拍手が沸き起こりました。
2日目には、徳島県徳島市から、「阿波人形浄瑠璃」が出演。2人の三番叟が激しく舞い、途中で1人が休もうとすると、もう1人が引きとどめるという、ユーモアあふれる『寿式三番叟』を上演。続く『傾城阿波の鳴門』では、小学校3年生～高校生が、3人がかりで力を合わせ、人形を巧みに操作していました。
子どもたちは、これからも続けていきたい、と、頼もしい言葉を残してくれました。
山梨県身延町からは、「西嶋神楽」が出演。2月初旬～中旬にかけての大雪の影響を受け、約10日間に渡って、町内及び周辺地域の交通網が遮断されるなどの苦しい状況が続きましたが、それを乗り越えての出演となりました。 「太刀の舞」では、小学校6年生の女子児童3名が、清らかな巫女舞を披露しました。続く「天の岩戸の儀」では、天宇受賣命（あめのうずめのみこと）の優雅な舞と、手力男命（たぢからおのみこと）の力強く勇壮な舞が観客を魅了しました。
後継者育成にも努められ、地元の小学校３～６年生で構成される少年神楽団は、今年で50周年を迎えました。現在では、最高齢のメンバーは88歳、また少年神楽団出身のメンバーも増えており、どの若い参加者も、これからも続けていこうと考えている、と力強い言葉がありました。
地域伝統芸能まつりのもうひとつの柱、古典芸能。今回の見どころは、親子による共演です。
1日目は、半能『船弁慶』を上演。兄・源頼朝に追われる義経を子方の片山清愛が演じ、可愛らしくも凛々しい姿を披露。その義経と切り結ぶ平知盛の亡霊は、父の片山九郎右衛門が演じました。
また2日目には、父が子にいろはを教える狂言『以呂波』を上演。親を茂山逸平、子を茂山慶和が演じましたが、昨年が初舞台というと慶和の初々しい様子に、会場は温かな笑顔に包まれました。
2日間の大トリを飾ったのは、大阪府東大阪市の「布団太鼓台」です。高さ約4メートル、重さ約1.5トンもある、美しい彫刻や装飾が施された布団太鼓台を約100名が担ぎあげ、「サシ」や「しゃくり」といったダイナミックな技が披露されると、会場からは大きな歓声が上がりました。
最後は、まつりの本番さながらの熱気に包まれるなか、この日の出演団体がにぎやかに再登場。この日に披露された素晴らしい芸能と、それを保存・継承してこられた保存会の方々への敬意、今後への期待を込めた盛大な拍手が会場から惜しみなく送られ、感動のフィナーレとなりました。
地域情報PRコーナー
ホール2階の客席ロビーには、出演団体の地元物産展として、宮城県、千葉県君津市（22日のみ）、千葉県香取市（23日のみ）、山梨県、山梨県身延町、島根県・松江市（共同出展）、徳島県、宮崎県都城市の8団体が出展しました。また、その他の出演団体の地元観光文化パンフレット等を自由にお持ち帰りいただける地域情報コーナー等も設けました。どのブースもたくさんの方にご利用いただき、地域情報に対する注目度の高さがうかがえました。
当日のアンケートに寄せられたご意見の一部
・本やテレビでは見たことはあったのですが、やはり生で見ると迫力がありとても面白かったです。全国の伝統芸能なので普段見ることが出来ないものが多く、日本の伝統文化をより学ぶことが出来てよかったです。
・地域の伝統は日本の未来にもつながります。地域の活力にも地域の子ども達のためにも大切なことだと思います。
・日本各地の伝統芸能のすばらしさを堪能いたしました。目の前で実物を観賞でき、生涯の最良の日となりました。
・伝統芸能を、遠方に行かず、近くで観れてよかったです。
・保育園、小学校、中学校などの若い人達が伝統芸能を継承していることに頼もしさを感じるとともに、大変、嬉しくなりました。
・伝統芸能を代々受けつぎ、今にいたった御苦労も多々あったと思われますが、子どもたちの元気な姿にはげまされました。
・各地の芸能をなかなか知る機会がないので今後も続けてほしいです。もっと多くの方に知ってもらいたいし知らせるべきと思いました。