第13回 地域伝統芸能まつり テーマ「鎮(しずめ)」
日本各地で脈々と受け継がれている地域伝統芸能と古典芸能を一堂に会して紹介する「地域伝統芸能まつり」が、2月23日(土)、24日(日)の両日、東京・渋谷のNHKホールで開催されました。
大変多くの皆様にご応募ならびにご来場をいただき、誠にありがとうございました。
13回目を迎える今年は「鎮(しずめ)」をテーマに、全国から10の地域伝統芸能と2つの古典芸能が集い、実演と同時にその歴史や地域性などもご紹介しました。
第1日 2月23日(土)
・松前神楽/北海道小樽市
・伏木一宮の獅子舞/富山県高岡市
・遠州大念仏/静岡県浜松市
・狂言「止動方角」(大蔵流)/山本東次郎 ほか
・佐原囃子/千葉県香取市
・知立の山車文楽/愛知県知立市
伏木一宮の獅子舞 |
知立の山車文楽 |
第2日 2月24日(日)
・綾南の親子獅子舞/香川県綾川町
・村上の田植踊/福島県南相馬市
・鶴崎踊/大分県大分市
・南沢神楽(南部神楽)/岩手県一関市
・スーパー能「世阿弥」【短縮版】/梅若玄祥、片山九郎右衛門 ほか
・御所の献灯行事/奈良県御所市
鶴崎踊 |
南沢神楽(南部神楽) |
1日目、全演目のトップバッターを務めたのは北海道小樽市の「松前神楽」です。洗練された囃子に、弓矢を用いたり馬術の様子を表現した舞は、優雅さと勇壮さで観客を魅了。獅子舞も登場し、客席の子どもを巻き込んだ、猿田彦とのユーモラスなやりとりに会場は笑いに包まれ、和やかな幕開けとなりました。
静岡県浜松市の「遠州大念仏」は、初盆を迎えた家の庭先で唱えられる賑やかな念仏を披露。独自の節回しの歌詞や鉦の音に乗せて、太鼓が勇ましく踊るように打ち鳴らされる様子は幻想的で、霊や遺族への祈りを込めた息の合った踊りや太鼓の響きに、会場全体が独特の雰囲気に包まれました。
千葉県香取市からは「佐原囃子」が登場。神楽囃子に歌舞伎や浄瑠璃などの影響も受けた独特の囃子が、情緒豊かに響き渡ると、今度は軽快な曲で若者と子ども達が踊りを披露。親子の演舞や「小さい頃から囃子が耳に馴染んでいた」との若手継承者のコメントは、地域の伝統芸能が連綿と守り伝えられてきた所以を再認識する一幕となりました。
2日目には、香川県綾川町から「綾南の親子獅子舞」が出演しました。親獅子と子獅子が互いの情愛を見事に表現した演舞で、特に子獅子を熱演した女子中学生2人には大きな拍手が送られました。親獅子の演者や保存会会長も子獅子の経験者であり、伝統が次世代へ受け継がれていく一端を垣間見ることができました。
福島県南相馬市からは「村上の田植踊」を披露。農夫と馬が田を耕す様子をユーモアたっぷりに演じた後は、民謡風の歌に合わせ、女性達が四つ竹や鈴を打ちながら真摯に舞いました。「これほどまで復活できるとは思わなかった」―東日本大震災から続く困難な状況のなか、流失した踊りの用具や衣装を復元し、この日の上演を迎えた演者達に敬意を込めた惜しみない拍手が送られました。
地域伝統芸能まつりのもうひとつの柱、古典芸能は、1日目に狂言『止動方角』が登場。癖のある馬を鎮める呪文で、主人と太郎冠者が愉快かつ爽快なやりとりを繰り広げました。また、2日目には梅原猛さんの新作、スーパー能『世阿弥』が短縮版で上演されました。世阿弥親子の情愛や芸術と政治などが現代語でわかりやすく描かれ、荘厳な能の舞台とともに、古典芸能の新たな魅力に会場中が酔いしれました。
2日間の大トリを飾ったのは、奈良県御所市の「御所の献灯行事」です。勇壮な太鼓のリズムに乗って、小学生が小ぶりのススキ提灯を額や腕に乗せる技を披露。続いて若手継承者による、高さ5メートル・重さ約10キロのススキ提灯の投げ合いや振り回しなどダイナミックな演技に、何度も拍手が湧き起こりました。
最後は、まつりの本番さながらの熱気に包まれる舞台上に、この日の出演団体が賑やかに再登場。全国各地で懸命に受け継いできた、個性豊かな伝統芸能を存分に披露した演者たちに盛大な拍手が送られ、感動のフィナーレとなりました。
地域情報PRコーナー
ホール2階の客席ロビーには、出演団体の地元物産展として、岩手県、岩手県一関市、福島県南相馬市、千葉県(23日のみ)、千葉県香取市(23日のみ)、富山県(観光PRのみ)、富山県高岡市(24日15時まで)、香川県・綾川町(共同出展)の8団体が出展しました。また、その他の出演団体の地元観光文化パンフレット等を自由にお持ち帰りいただける地域情報コーナー等も設けました。どのブースもたくさんの方にご利用いただき、地域情報に対する注目度の高さがうかがえました。
当日のアンケートに寄せられたご意見
・日本には色々な伝統芸能があり、今に守り伝えられている事柄を紹介する取り組みは非常によいことだと思います。
・失われつつある伝統芸能の灯を絶やすことなく、守り続けられていくことを願います。
・毎年素晴らしいです。これからもずっと続けて下さい。
・現地に行かずに見ることができるのはありがたく、そして現地の祭りの日に行ってみたいという気にもさせられました。
・小さな集落の人々が伝統を守るため、子供たちへとつなぎ、素晴らしい絆を感じました。
・子供たちが参加する祭りがよいです。次世代まで続いていくことが感じられます。
・旅行ではなかなか遭遇できない地域の祭りを楽しめ、日本の伝統、地域の人の郷土愛の深さに感動しました。
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