一般社団法人 地域創造

第35号 大学と地域連携(2013年度3月発行)

top (JPG 15.8KB)

特集 大学と地域連携

地域づくりにおける大学の役割がクローズアップされている。社会と積極的に関わっていくことは、学生にとって専門教育だけでは得られない貴重な経験となる。地域にとっても、若いエネルギーと学びの場から発信されるクリエイティビティは、大きな資源だ。課題は異なる組織をどう繋いでいくか。その最前線をレポートする。

空間のエスプリ

体験レッスン

イラストSCOPE

座談会

SCOPE

海外STUDY

特 集 大学と地域連携

1 神奈川県川崎市│昭和音楽大学×しんゆり・芸術のまち
芸術のまちづくりを標榜する「しんゆり」に"第2のまちびらき"をもたらした昭和音楽大学く

文:田中健夫

Photo01.jpg
© 大河内 禎

「しんゆりでは、芸術のまちづくりを目指す昔からの文化活動と、昭和音大移転後に始まった文化活動が交わって、うまく共生しています。そもそも大学は行政や市民がもっていないものをたくさんもっている。それを学内だけでなく、地域でもぜひ活かしてほしいと考えてきました」(抜粋)

2 東京都│東京都美術館×東京藝術大学「とびらプロジェクト」
市民のエネルギーを取り込んで、 アートによる新たなコミュニケーション活動を展開

文:山下里加

Photo02.jpg
© 雨田芳明

「とびらプロジェクトは、"家でもない。職場や学校でもない。3つめの場所"を目指しています。近年では同じようなタイプや階層の人たちだけの小さなコミュニティに細分化され、個々のコミュニティの隙間からこぼれ落ちる人が出てきている。だからこそ、個別の価値観や立場を越えて集まれる社会的なプラットフォームが必要なのではないか。美術館はそういう役割も担っていけると思っています」(抜粋)

3 北海道岩見沢市 │北海道教育大学岩見沢校
地元の市民活動との交流が進む北海道教育大学岩見沢校

文:田中健夫

Photo03.jpg
© 雨田芳明

「私は、大学と地域が連携するなら、その地域でしかできないことを市民と共にやるべきだと考えています。完成した作品に向き合うのが美術館だとすれば、多くの人が参加して長期にわたって取り組む三笠プロジェクトは、プロセスを通じて学生が学ぶ場になりえます。だからこそ地域の中で学生が成長するのだと思います」(抜粋)

4 石川県金沢市│学生のまち推進条例×金沢学生のまち市民交流館
市が学生たちの活動を強力にバックアップ若い力をまちづくりに生かす

文:神山典士

Photo04.jpg
© 大河内 禎

「最初は渋々参加したんですが、来てみると商店街の人と繋がりができたり、金沢市内から学生が消えて困っているという課題を知ったりして考えが変わりました。ぼくたちがいろいろ活動することで地域の人が喜んでくれることも嬉しかった。それ以前は、自分が楽しむことが活動の中心でしたが、この会議以降は、誰かの役に立つことにやり甲斐を感じるようになりました」(抜粋)

空間のエスプリ

韓国 アートと町工場が共存する文來洞

文:木村典子

07年、創作村の有志により、近所に暮らしながらも互いを知らないアーティスト同士の交流と再開発をはじめとする文來洞の問題を話し合う「文來芸術公団」が発足した。彼らは「境界なき芸術」「文來アートフェスティバル」などのイベントを開催。これをきっかけにマスコミの注目が集まり、韓国で唯一の自発的アートコミュニティとして認知されるようになった。(抜粋)

体験レッスン

東京都現代美術館にコレクション活用を学ぶ

構成:山下里加

Photo05.jpg
© 雨田芳明

「「企画展が作品との初めての出会いの感激を与えるものであるとするなら、常設展は出会いを何度も重ねていった上での"付合いの感動"の場だということ。"付合いの感動"を育てていくには、常設展は格好の場である」といった内容の一文があります。これは、とてもよい文章だと思っていて、常設展を説明する場面でよく引用させていただいています」(抜粋)

イラストSCOPE

愛知県豊田市
地域の文化遺産を生かす「農村舞台アートプロジェクト」

文:奈良部和美/イラスト:田渕周平

「舞台は保存されたけれど、人はいなくなったでは、この運動は成功ではない。舞台を使っていかに地元の人が楽しくワイワイやれるか。それをアートプロジェクトが手伝う。アプローチの仕方はいろいろあっていい。若者が来て交流するのもいいし、年寄りはけっこう面白いことをやりたがっているから、何ができるか試すのもいい」(抜粋)

座談会

吹奏楽のまちづくりに挑む

司会・構成:坪池栄子

Photo06.jpg
© 雨田芳明

学校教育として取り組まれてきた吹奏楽。表現も多彩になり、各地でフェスティバルが開催されるなど、吹奏楽をまちづくりや公立ホールの事業に取り入れる活動が広がっています。単なる発表会とは一線を画したプログラムにより、まちづくりや文化芸術としての可能性を広げる企画に取り組んでいる担当者にお集まりいただき、現状と課題を語り合っていただきました。

SCOPE

三重県津市 三重県総合文化センター
開館20周年を迎え、事業団改革が実を結び広がる事業

文:土屋典子

Photo07.jpg

「津にはまだ本格的に演劇に出会っていないけどカルチャー全般に興味がある人がたくさんいる。そういった人たちを掘り起こし、地方で演劇をやりたいという人たちが無理なくできる環境を作り、演劇に出会える機会をつくりたい。その思いは僕らも文化会館も同じで、毎日のように会って話しています」(抜粋)

京都市 京都芸術センター
「Dance 4 All 2013コミュニティダンス・フェスティバル」
参加者の可能性を引き出し、 つくり手を触発するダンスのあり方をめぐって

文:乗越たかお

Photo08.jpg

「今では参加者が自分たちでワークショップを行い、作品をつくるのみならず、セレノコンパーニョのように自分たちが刺激を受けるために他の地方からコミュニティダンスのグループを招いたイベントを企画するまでになってきました。従来のワークショップとは、広がり方が全然違います」(抜粋)

海外STUDY

ユネスコの文化政策
-無形文化遺産事業を中心に

文:藤井慎太郎

「課題は残るとしても、無形文化遺産は、目に見えるかたちで生み出される作品や上演はもちろんのこと、それ以上に目に見えない知識や技術に焦点を当て、純粋な市場経済の枠組みの中では維持・発展が難しい文化の実践に対する社会の関心と支援を促そうとする、画期的な枠組みであることは間違いない」(抜粋)

第35号 大学と地域連携(2013年度3月発行)